RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語

シリーズ第1作。 筒井肇は、大手家電メーカーに勤め取締役への昇進を告げられていた。だが、課せられたのは工場整理という名のリストラ。その対象は同期入社の川平が工場長を務める工場だった。妻の由紀子は、長年の夢だったハーブショップを開店。娘の倖は就職活動中だが、自分の夢が見つからないと言う。ある日、故郷の島根で一人暮らしをしている母・絹代が倒れた。悪性の腫瘍が見つかったことを医師から告げられ、肇はひどく動揺する。帰った故郷で、家業のしじみ漁に励む同級生の了の誇らしげな姿や、都会とは違う田舎のゆっくりとした時間の流れを全身で感じる肇。子供の頃、一畑電車の運転士になるのが夢だったことを思い出すのだった。母親には、親孝行さえしていない。妻や娘とはすれ違ってばかりいる。自分は、目前のことに追われ、やりたいことに挑戦さえしていない。肇の中を、熱い想いが駆け抜けた。肇は会社を辞め、一畑電車の運転士採用試験を受ける決意をする。49歳。そして、妻と娘を東京に残して、肇の運転士見習いの日々が始まった。